無い靴下のピッピ

靴下のおはなし。


毎日靴下を履いています。
たくさん靴下を持っています。

乾燥の終わった靴下たちを、ペアにまとめて靴下ボックスに入れていきます。

私はこの作業が意外と好きで、この花柄の靴下は誰々に褒められたなあとか、このhufのヘンプ柄の靴下は一体何と合わせるつもりで買ったんだっけなとか、色々考えながら片付けていると
色んな思考や思い出を丁寧にしまい込んで、洗濯の度にそれを上書きでアッブデートしていけるような気がしています。




とか言ってられるのは、休みの日にゆっくり起きて今日は家事をきちんとやろうと最初に決めた時だけです。




普段はというと、
朝バタバタしながら大急ぎで洗濯機にぶち込んだものを帰ってきてからゴワシャーと運び出して、靴下なんて特に、「靴下である」と判断するや否や靴下ボックスにとにかくぶち込み直す。そんなもんです。


だもんで、そういった「ゆっくり丁寧に家事をする休日」が来るまでは、靴下たちはペアの相方と引き裂かれ、裏返しを直してもらうこともなく悲劇的にボックスの中でクチャッとしています。



今日の朝は特に靴下ボックスの中は混沌をきわめていて、たまにハンカチが紛れ込んだりしているもんで、私は履きたい靴下のペアを見つけるのにかなり難儀しました。


今日はこの黒字にラメの靴下にしよう!と
右手に片方を持ちながら左手で靴下ボックスをまさぐり、
見つけたもう片方を右手に持ち替え、
存在しない3枚目を探し左手で靴下ボックスをまさぐり、
「靴下が片方ない……片方ない……」と呟き、
しばらくした所で漸くことの次第に気づき、
「足は3本ない」と思いながら靴下を履きました。