わたし、老けてるのね。

いや、もういいんです。
「そんな事ないよ〜年相応に見えるよ」
「老けてるっていうか、しっかりしてるから上に見えるんだよ!」
「老けてるとかじゃなくて大人っぽいんだよね」
「アタシ下に見られるの嫌だから羨ましい〜〜」

そういうの、もういいから。やめてくれ。

年相応ってどれくらいなのよ。みさえは29でアナゴさんは27なんだよ。

しっかりしてるから上に見えるんじゃない、見た目が上に見えるから、「しっかりしてそうだな」って勝手に期待されるだけなんだ。しかもめちゃくちゃうっかりしてるんだ、私は。

この間も出勤時間を間違えて2時間遅刻したし、一昨日は会議と会議がダブルブッキングしていることに気づかなかった。昨日なんか、会議資料を頑張って作って奇跡的に納期に間に合ったのに、提出し忘れてそのまま帰ってきた。

そんな自分のうっかり具合は嫌というほど身に染みている。ランドセルを忘れたことも指の本数が足りないほどある。宿題や課題なんか、覚えてた回数に指の本数が足りている。

それもあって、メモを取るようになった。しかしメモなんてものは「見る」ことを大前提に用意された代物なわけで、メモの存在を覚えていられるなら会議の時間だって、覚えていられる。

もう最近は、手に全てを書くようになった。
会議時刻、ハンコを持ってくること、メールを送っておくこと、書ききれないから挙句の果てには「メモを見ること」と書いてある。

そんな人間のどこがしっかりしてるというんだ。私に何も期待しないでくれ。

私の手首から先が芳一だったら、耳なしにならずに済んだ。「全部ある芳一」って呼ばれてたと思う。ミギーよろしく右手に「全部ある芳一」を携えて、私は生きていく。




そんな私ですが、数ヶ月前に出世というものを生まれて初めてやってみた。
まあ社内では出世と呼んでるだけで、俗に言う「社員登用あり」の「登用」のことです。

ヒラの派遣さんから社員の下っ端になっただけなので、コンビニで言うところのバイトリーダーみたいなもんです。

バイトリーダーとはいえ、社内の呼び名としては「上司」「部下」が絡んでくる。

新人の派遣さんに色々教えたり、何かあった時には上司として頭を下げにいったりもする。書いてて思ったけど嫌な役回りだな……。


ただ派遣さんって、新卒なんかほとんどいなくて色んな人が入ってくる。
大学中退したから派遣やる人、バンドマンや芸人、パート代わりに派遣やる人、事業が失敗した人、色々あって社会をドロップアウトした人。

だから結構な割合で、「私より年上かつ社会経験もある人」が新人として入ってくる。30代の活躍している職場ですって、マイナビに書いてあるだろうな、きっと。

ところでうちの会社では基本的に、年齢関係なく社員⇒派遣さんはタメ口のケースが多い。指導とかしなきゃいけないからなのかな。派遣さん⇒社員もタメ口の人が多いから、たんに「アットホームな職場です。」なのかもしれない。

なので私も通例に従って、後輩にはあまり畏まったものの言い方をしないようにしている。さすがに一回りも上の人には、「〇〇さん、時間あったらでいいんで、これやってもらっても良いっすか?」くらいの感じで。



ここで話が戻るんだけど、わたし、老けてる。


まあ私が老けているのは分かってるんだけどそれはあくまで相対的な話であって、
私は私の年齢を知ってるんよ。当たり前だけど。

だから、私より若く見える人を「年下」としてタメ口をきいてしまう。
ていうか、私の知り合いなら分かるかもしれんけどプライベートではどんなに歳上でもタメ口じゃないですか、私。

はっきり言って敬語を使う習慣が全くなかった。学生時代も、先輩だろうが先生だろうがタメ口一本で頑張ってきたんだよ。大学の教授にはさすがに敬語を使おうとしてた時期もあるけど、ぶっちゃけそれも「とても下手」だった。「喋ることば」に対して、一切の推敲ができない。


ここまで長々と話したけど何が言いたいかって、思いっきりタメ口で接してた「部下」のうち数名がめちゃくちゃ歳上だったって話。

アタシ老けて見られるから、若く見えて羨ましい〜〜。すみませんでした。